予防接種と並び、私達が最低限してあげられる病気の予防としてこのフィラリアという病気があげられます。
フィラリアとは、犬糸状虫症といい日本では、一般的に家蚊が媒介する寄生虫の病気です。
フィラリアは、犬の血管内部でミクロフィラリアを生みます。この、ミクロフィラリアの含まれた血液を吸った蚊の体内で子虫となり、
別の犬にこの子虫を感染させます。血中に入った子虫は、犬の体内で何度も変態を重ね、成虫になり、肺から心臓にかけての血
管に寄生します。その後またミクロフィラリアを産みます。
心臓にたどり着く頃にはこの子虫は、20cmほどに成長しています。
詳しくは、寄生虫のところで説明します。 ここでは、どのように予防したら良いのかの説明をします。
基本的には、月一回の投薬で、感染してきた子虫を殺す事が可能です。この薬は、子虫が成長するのを食い止める物です。
フィラリアの薬を投与する前には、必ずミクロフィラリアが体内にいないかどうかを、血液検査で確認してもらう必要があります。
ミクロフィラリアが体内にいるということは、上記の説明から解かるように体内にすでにフィラリアの成虫がいるということです。
つまりもうフィラリアに感染してしまっているということになりますから、これらの薬では効果がありません。
外科的処置を施すか、別の投薬による治療が必要になります。
理屈を言ってしまえば、ミクロフィラリア入りの血を吸った蚊に刺されなければ、感染はしないわけです。蚊に刺されないようにする
事が、一番の予防策でもあります。
蚊の棲家になってしまうような、水溜りを排除したり、草むらをなくす。更に、蚊の嫌うようなハーブを植えたりと、いろんな方法があ
ります。蚊取り線香も、効果はあるでしょう。用法を守って使用すれば、危険は少ないかと思います。
ただ、犬が誤食しないような注意だけはくれぐれも必要です。
人間だって、うっかり蚊に刺される事があるように、犬だって絶対とは言えないと思いますから、やはり蚊を寄せ付けない対策と、
予防薬の併用は必要な事だと思います。
投薬の頻度から考えると、1回/月でよい物が最近の主流になっています。
錠剤、もしくは顆粒の薬品です。
以前はミルベマイシンの粉末がありましたが、現在は生産されておりません。
カルドメックは、チュアブルタイプの物も出ています。
システックと言うのは、三共から出ている、プログラムというノミ駆除の薬品との混合品です。
チュアブルタイプの物は、与えるとき消化されやすいように小さくしてから与えると良いでしょう。未消化のまま出てしまうともちろん
薬の効果はありません。
しかし、必ず、一度で与えきるようにしてください。同じ大きさに分割しても、中の薬の量が均等に分割されているとは限りませんの
で…。
フィラリアの予防薬として出ているこれらの薬品ですが、他の寄生虫に効果も確認されている物もあります。
寄生虫の多い国・地域などでは一般の獣医師の処方量よりも多く処方されることもありますが、フィラリア予防として考える場合、
確実に体重に合わせた処方を守ってください。
薬は薬です、若干ながら副作用の症例も報告されています。くれぐれも、用法・量は、獣医師の指示の元でお願いします。
メーカー | 主成分 | 商 品 名 | 投薬頻度 | (同内容) 輸入薬品 |
田辺製薬 | ジエチルカルバマジン | サイボール錠 | 毎日 | Filaribite |
動物用スパトニン錠 | ||||
大日本製薬 | イベルメクチン | カルドメックチュアブル68 | 1回/月 | Heartguard |
カルドメック錠 | ||||
三共 | ミルベマイシン オキシム | ミルベマイシンA顆粒 | 1回/月 | Intercepter |
ミルベマイシンA錠 | ||||
システック | ||||
共立商事 | モキシデクチン | モキシデック錠 | 1回/月 | Pro Heart |
よく、液体の薬品を予防薬として出される場合があるようなお話を聞きます。
これは、アイボメックといい、家畜用の注射剤として使用される物です。
そのままでは、濃度が高く危険なため希釈して注射したり、
飲ませたりするように聞いています。さらには、蒸散する事により粉末にしたり、錠剤にしたりする場合もあるそうです。
こういったものと区別化を図る目的もあって、ミルベマイシンの粉末はなくなったのではないかと言われていました。
しかしながら、希釈する液によっては成分が変質したり、仮に変質が無かったとしても、予防薬としての効果はかなり低い物と思わ
れます。現在出ているフィラリア予防薬に液状の物は存在しません。
信頼できる獣医師にしっかりした薬品を処方してもらえるようにして下さい。できれば、自分がもらった薬品がどんな薬品なのか教
えてもらうと良いかと思います。
もう一点注意すべき事があります。最近は個人輸入などで、海外で市販されているフィラリア予防薬を安価で手に入れることも不
可能ではなくなって来ました。この場合、危険になる事が2つあります。